お元気でしたか。どうしてましたか。
桜が咲きました。こちらではもう満開を過ぎ、だいぶ散っていますが、まだ春は過ぎ去らずここにいる気配があります。
散るがうへに散りもまがよふ桜花かくしてこそは春も過ぎしか
紀貫之のこの歌が好きです。
ちゃんと文法がわかってなくて適当に味わっている感じではあるのですが、スピードと蓄積と無限と永遠と、いろんな時間の様相が散る桜に詰まっている風景が浮かびます。
この歌、載っている本によっていろいろなバージョンがあって混乱します。別出では「ちるがうへにちりもまがふか」だったり「かくしてこそは」ではなく「かくしてこぞも」だったり。
そもそもちょっと違う歌として作ったのか写本違いなどの問題なのかもよく知らないのですが、最初に見ていいなと思ったバージョンで記憶しています。
桜が散り、また散るたびに、こうして春は過ぎてゆくのだったと、何千回も経験しているというのに改めて見出したような気持ちになるのですよ
そうささやかれている気持ちになる。
誰に、かというと
貫之さん? 桜の精? または、春そのものか。
何かわからないそのようなもの全体に。
まだここにとどまっている春ですがじきに過ぎるのでしょう。今思っていることはもっと素早く心の中から去ってしまう。本当に思っていること、本当に書きたいことを書くというのは難しいものです。ではまた。