招き猫のすすめ

豪徳寺と住吉大社の招き猫

豪徳寺と住吉大社の招き猫

前回に引き続き、招き猫のお話を。
私は猫が大好きですが、猫好きとして「招き猫」は必携アイテム、なんて認識はなく、長く招き猫にはあまり興味がありませんでした。理由をあえて探すと、「あんまり猫っぽくない」からではないかと思います。
猫といえば、柔らかい身体から繰り出される変幻自在な魅惑のポーズと気まぐれな表情、などなど「変化」が大きな魅力のひとつで、招き猫に限らずぬいぐるみや置物ではそれを今ひとつ伝えられていないと思っていました。

しかし某所ですごくかわいい招き猫を見つけたのをきっかけに、招き猫といってもいろいろで、かなり「猫っぽい」デザインのものもあるんだなあと興味を持つに至りました。

さて、写真ですが、向かって左側が先日から推している「豪徳寺」の招き猫です。猫の柔らかさが再現されているところがいいです。定番アイテムの「小判」を持っていないため、脚のつけねやお腹が見えるところもポイント。豪徳寺は招き猫発祥の地と言われるひとつで、彦根藩主・井伊直孝が白猫に招かれて豪徳寺に立ち寄ったところ雨を逃れることができたため、豪徳寺に寄進をし、豪徳寺は井伊家の菩提寺となったというエピソードが起源であるという説。同一の猫が彦根の「ひこにゃん」のモデルでもあるというお話です。「ひこにゃん」もお腹が柔らかそうなところが、いい。もうひとつ有望なのは浅草の「今戸神社」説らしいのですが、こちらはまだ行ったことがなく、いずれ訪れてみたいです。

写真右側は何かというと、大阪の住吉大社の招き猫です。こちらは何と言っても顔の表情がいいところが気に入っています。

豪徳寺と住吉大社の意外な共通点?

共通点ひとつめはもちろん「招き猫がいる」ということです。が、それだけではありません。他にも(私としては)重要な共通点があるのです。

住吉大社はたいへん由緒ある神社で、大阪では定番の初詣スポットでもあるそうです。広々として緑の多い神社で、しかも路面電車・阪堺線の「住吉鳥居前」駅がすぐ近くにあるのが印象的でした。地元の方はもちろんご存知でしょうが、私など大阪に何度か行ったことがあっても路面電車が走っていることを知らなかったもので、新鮮な驚きがありました。阪堺線の一日乗車券(乗り降り自由600円)などを利用して、途中下車ぶらぶら大阪の街散歩、とても楽しいのでおすすめです。

そして豪徳寺も、いわゆる鉄道の駅でいうと最寄りは小田急線「豪徳寺」駅ですが、実は路面電車「東急世田谷線」の「宮の坂」駅の方が近くにあります。小田急の「豪徳寺」の至近に世田谷線の「山下」駅があり、小田急線から世田谷線に乗り継いで一駅、路面電車に乗って豪徳寺へ行くという楽しみ方もできます。京王線「下高井戸」、東急田園都市線「三軒茶屋」にも接続しているのでどちらを基点にめぐっても楽しめます。世田谷線にも一日乗車券世田谷線散策きっぷ(乗り降り自由330円)があり、こちらもおすすめ。

というわけで意外な共通点とは「路面電車」。東西二都、路面電車散歩で招き猫めぐりのおすすめでした。

招き猫ごっこ

「招き猫に会いに行こう〜」

もっと「招き猫博士」になりたい

という向きにも実はおすすめがあります。(Amazonへのリンクがあります)

日本全国に招き猫スポットはあるし、グッズもたくさん、
バカラの招き猫
なんでいうのもあるくらいで、なかなか招き猫情報を網羅するのは大変ですが、やっぱりいるんですね、調べつくして本にまでしてくれる人が。
その名も「招き猫百科」 日本招き猫倶楽部編

こちらの本は資料と写真の量がかなり充実しています。それもそのはず、「日本招き猫倶楽部」編、そして「招き猫ミージアム」(愛知県瀬戸市にあり、招き猫コレクションを数千点所蔵)が全面協力して作られた本で、招き猫ファンならば必読、郷土玩具や江戸の縁起物への興味も満たしてくれる一冊。

そしてもう一冊、週に5回は密室犯罪の話を読まないと体調が悪いミステリーファン(私のことだ)にはこちらをおすすめします。
「完全犯罪に猫は何匹必要か?」 烏賊川市シリーズ  東川篤哉著

招き寿司チェーンの社長、その名も「豪徳寺豊蔵」に猫探しを依頼された探偵が殺人事件に巻き込まれ、現場には巨大な「招き猫」!設定やキャラクターの名前からして何だかもうひどい上に期待を裏切らない面白さです。
同じ作者の「謎解きはディナーの後で」もいいけれど、私は「館島 」とこの「烏賊川市(いかがわし)シリーズ」が大好きです。未読の方に作風を説明するならば、「ユーモアミステリ、かつ本格推理」という他にない個性が魅力。

そして招き猫の町、豪徳寺にて、こんな「猫の目時計」を展示中です(2016年6月26日まで)
斎藤雨梟作「お天気屋さんの猫の目時計」写真

という話はこちらをご覧ください。

6月10日「時の記念日」の歴史的由来とは?そして時の記念日を記念して古い時計を生まれ変わらせる楽しい展示会が催されます。