衝動買いをしたんです
散歩をしていたら、写真屋さんのレジ下に、カメラのイラスト付きの小さなパッケージがたくさんぶら下がっていたので、「なんだろう?新種のトイカメラ?」などと思って寄ってみたら、なんと「写ルンです」であった。
かつては、どこでも売ってていつでも撮れて超便利、巧いネーミングと面白いCMで大ヒットして女子高生のカバンには必ず入っていると言われつつもオジさんオバさんのカバンにだってけっこう入っていたり、使い捨てカメラなどと呼ばれているが正しくは「レンズ付きフィルム」なんだって、へ〜!という豆知識とセットに大量消費されたりしたなつかし製品。
思わず買った。
「写ルンです」で撮ったら、「つま写」のつまらなさに新局面が見られるかもしれない。
「つま写」についてはこちらの記事を読まれたし↓
家に帰って調べてびっくりしましたよ。だって、
「写ルンです」がブーム オシャレな写真が撮れると大人気
などとネットで大評判。らしい。現像してみないとどんな写真が撮れているかわからないワクワク感も良いのだとか。
ふーん。知らなかったね。
オシャレってどういうことだ。
フィルム特有の味と小さなプラスチックレンズならではの予測不能な効果がいいらしい。
しかも知り合いの写真家、こばやしかをるさんが「写ルンです」で撮影するコツを取材されているのを見つけたぞ。
おひさしぶりで〜す!
こばやしををるさんが「写ルンです」で撮った写真もこちらで見ることができる。
たしかに面白い。最初の方は、う〜ん、写ルンですだからオシャレとかじゃなくて、撮った人の撮影意図とかセンスとかがちゃんとしてるからよく見えるんじゃないのかい?と思っていたのだが、後半のスナップ写真を見ているうちに、よみがえってきた。
「写ルンです」が
「今やここにはないものの影が写っている」
という、写真につきものの不気味さを非常によく表現する道具だったなあという記憶が。
写ルンですで撮った写真をペンやシールで飾ってアルバムやスクラップブックを作るのが流行っていた。
今では、いつでもどこでもスマートフォンで写真を撮って加工してすぐさま交換したりと時代はもっと進んでいるからピンとこない若い人もいるだろうが、当時そういうことに熱中している中高生たちは「思い出作りに必死」「若者はなぜ生き急ぐのか?」とかなんとか言われていた。
そして私は、もともと日常的な人的いとなみを写真に撮ったり撮られたりするのが好きでも何でもないので、「撮った途端にそれが過去であることが白日のもとに明らかにされる」という、写真の持つ不気味さを、「楽しい思い出」としてあっという間に消費する行為に、何か灰色の雲みたいなモヤモヤした違和感を覚えていたものだ。
あの「あっという間にその空間を過去にする」感じに一役買っていたのが写ルンですの独特の質感だったなあといういこと、それをポジティブな「面白さ」に転じて見せてしまうのはさすがプロですなあ、という感慨。こばやしさんの写真を見て色々思った。
が、私はもちろん写真のプロではなく、筋金入の素人だ。「このカメラで撮りました」って写真をブログに載せていいですかとメーカーにもし問い合わせたら「1000円あげるから載せないで」くらい言われるんじゃないかとうすうす思っている。むしろ下手写真のプロ予備軍。同じ「写ルンです」を手にしても目指すべき頂上は違う。この「写ルンです」が写し取るのを得意とする「違和感」、もっとあさってな方面へ持っていきたい。そう、下手写真のセミプロのくせになんらかの「頂上」へ行こうと志は高いのだ。
もちろん、
その後も「つま写」を着々と生産している
長くなってきたので一枚だけ。スマートフォンで撮影した「つま写」をご紹介。
何これ!?
と思った方、その反応は正しい。今見たら私もそう思う。
「置いてかないでくださいよアニキ!」
「まあ慌てるな、初心者はいきなり線路に近づくもんじゃねえぞ」
かなんか、メタリックなコスチュームで気合十分の二匹のヘビが会話してるみたいで面白いや、と思って撮影した。
今後コンパクトデジカメ、スマートフォンに加え、「写ルンです」でもこんなつまらん写真をわざわざ生産しようという魂胆である。
ためしに、今回の二枚の写真(「写ルンです」と、「メタリックヘビ兄弟」)を、フィルタでフィルム写真風に加工してみた。
うーん、おしゃれ……ではないな(安堵)
はたして、「つま写」力が写ルンですのパワーを凌駕するのか、「写ルンです」のオシャレ力でうっかり「おしゃれつま写」が撮れるのか、乞うご期待!