好きな学校行事は夏休み
こんにちは。今年は楽しい夏を過ごされたでしょうか。
高校時代、生徒会のアンケートとかいうやつに、好きな学校行事上位三つをを書けというのがあり、「夏休み」「春休み」「冬休み」と書いたことが懐かしく思い出されます。
夏休みの一位は不動として、春と冬とでは休みの期間も同じくらいなので悩むという方も多いのではないでしょうか。私は気候も良くて宿題がないので春休み派でした。
さて、私は今年の夏は何をしたかというと、もちろんつま写を量産したり本を読んだりマンガを読んだりと楽しく過ごしました。いいよね、夏。「つま写部」には、全世界から1、2件の大反響が寄せられたので、近日発表いたします。どうぞお楽しみに。
大人の読書にぴったり、「餅文学」を提唱します
はい、みなさんこんにちは!夏の読書、いかがだったかしら?
私の名前はモチ肌モチ代!餅文学を広めるためにやってきた、餅文学の妖精よ☆
な、なにするのよ、塩なんかまいて!
まさか、私の大事な頭の餅を食べようとしてるのね!!キーッ!
そうよね、餅って最高よね。というわけで今日は、文学や読書、とくに餅文学や餅読書についてお話をしにきました。
何この、人の話聞いてない猫!まあいいでしょう。「ライトノベル」って言葉がありますね。文字通りの意味ならば「軽い小説」ってことになるけれど、「重い」「軽い」だけじゃ文学は分けられないし、「ライトノベル」という言葉が、実質のところ「読みやすい軽い文章」というより、書かれている内容も含めてひとつのジャンルになっているところが、ちょっと不親切だと思わない?
それもどうかと思うけど。かといって、「ミステリー」「SF」「恋愛小説」とか、ジャンルだけでは割り切れないものもあるでしょう。もっとこう、「味わい」で分類する言葉があってもいいんじゃないかしら?
なんか、絶妙に引っかかるけど、まあそんな感じね。ただ、そういう分類、ほかにも「甘酸っぱい」だとか「泣ける」だとかって、味わいのうち「味」に注目しすぎている気がするのよ。「読めば必ず手っ取り早くこういう気分になれる」という保証を与えよう、もしくは求めようとしているみたいで、それはそれで別にいいけれど、読書の楽しみってそれだけじゃないでしょう。人の視点を片目ぶんくらい借りて世界を見るような、どこへ連れて行かれるかわからない、他者とのコミュニケーションとして楽しんでもいいでしょう?
かつお節から離れなさいよ。
さば?今ちょっといいこと言ったわね。私が言いたいのは、書かれている「題材」でもなく、読んでどういう「気分」になるかという分類でもなく、もっと、食感みたいな、歯ごたえみたいなもので文学を切り分けてもいいということ。だから餅文学なのよ!
あわてない、あわてない。餅文学っていうのは、餅のような味わいの文学のこと。押せば沈み込んで受け止め、引けばどこまでも伸びる。しっかりした重量感とたしかな存在感があって、それでいて噛みごたえがあるような、ないような、つかみどころのなさ。伸縮自在であると同時に変幻自在!甘味もいける!雑煮もいける!ふざけてるのかというほどのホスピタリティ。食べ物なのに。餅、それは癒し。栄養だってある。炭水化物ばっかりだけど。トッピングも栄養も、何を追加するかはあなた次第。
つまりね、餅文学の代表は、浅羽容子作「シメさばケロ美の小冒険」だってことよ!
大丈夫。浅羽容子先生と私は、餅の話をつまみに一晩中でも飲み明かせる仲だもの!浅羽先生の餅好きは、「シメさばケロ美の小冒険」に幻のテーマパーク「オモッチーランド」や、オリジナルキャラクター「オモッチーナ」を登場させていることからも明らかよ!モッチーン!!
ちょっと、余計なことしないでちょうだい!浅羽容子先生は今、超・多忙なんだから!とにかく、「シメさばケロ美の小冒険」がモチモチした味わいの面白さだってことは納得してもらえたかしら?
では改めて、浅羽容子作「シメさばケロ美の小冒険」の魅力をご紹介します!
浅羽容子作・「シメさばケロ美の小冒険」は、大人の楽しめる餅文学。あえて既存のジャンルに当てはめるならば、「超脱力系ナンセンス人外ファンタジー」といったところでしょうか。
舞台は、ここ日本なのかパラレルワールドなのか他の惑星なのか謎に包まれた「チャパン国」。主人公はシメさば屋三女、「昭和ヶ丘中学」2年生の「シメさばケロ美」通称ケロミ。(このページの冒頭のイラスト、左側にいるのがケロミです)カエル頭巾をかぶっている人間の少女に見えるけれど、ケロミは「ヒトモドキ族」。他にも、「サイコロ族」の親友ダイス君、相撲取り族、ドリル族、などなど、不思議な種族が登場し、クラスメイト全員があやしい病気になったり、オモッチーランドへ出かけたり、太ったり、ダイエットしたり、バイトしたり、なんとも言えないゆるゆるもちもちした、しかし中2パワーで常時暴走気味な日常の「小冒険」を繰り広げては、ハッピーな余韻を残して晩ごはんの時間までに平和におうちに帰ってくる。そんな物語です。読み進めると、ケロミワールドの謎も少しずつ明らかに。
毎回、切手の形の美しいタイトル画(描き下ろし新作です!)が見られるのも楽しみ。
こんなふうに数字は毎回カウントアップされて行きますよ。
かわいい挿絵もふんだんに!こちらはタイトル画のカラーイラストとはまたテイストの違う、より「モチモチした」絵なところにも注目してください。
とにかく、「あらすじ」や「設定」をいくら説明しても表現できない魅力が満載です。
webマガジン「心しか泊まれない」ホテル暴風雨4649号室にて連載中、隔週火曜更新、全話無料で読めます!
2017年9月19日現在、最新話は「メゾン・ド・アングラ(5)」(メゾン・ド・アングラシリーズ最終回)
初めて読む方は、第1回「マスクと中学生」から読むのがおすすめです。
そして同じく本日9月19日より、浅羽容子さんが出展する「修了装丁展」も開催されます。
会期中、装丁展会場では、浅羽容子さんのオリジナルフリーペーパー「惑星新聞」も、ホテル暴風雨チラシ折り込みつきで配布されます。
ぜひお出かけください。
餅文学の魅力、少しは伝わったでしょうか?
「モチーフ」「味」だけでなく食感のイメージで文章の魅力を切り分けるということは、ひとり遊びとして日常的にしていることなのですが、実際それは抽象的な色と記号のようなもので分類されており、「餅」以外にどんなのがあるのかと問われると考え込んでしまいます。
そこで終わりにしては考え込み甲斐がないというもの、好きな作家の文章の味わいを分類してみました。
倉橋由美子……乙女の生き血(化学合成したもの)
福永武彦……小石の形をした灰色の干菓子(和三盆製)
安部公房……炭入りのクラッカー
いかがでしょうか。
山吹丸、グッジョブ!
読書の秋に「シメさばケロ美の小冒険」、ぜひ読んでみてください!